田中邦衛

川上未映子さんが

おれはもう邦衛スタイル

とつぶやいておられる。

 田中邦衛『すべて真夜中の恋人たち』のような小説(傑作かつ感動的で名作で泣いてもうた)を書いたわけもないので川上未映子田中邦衛ではないと断言したい。でも本人がそう言ってるんだからそうなんかもしれません。

で、ですね、田中邦衛ですよ。
皆さんは田中邦衛をどの時点で認識しました?デビュー作から注目してました?そんな人は多分あまりいないと思うけど、加山雄三若大将シリーズで演じた青大将?それともヤクザ映画?やっぱり『北の国から』でしょうか。世代によって違うでしょうね。

自分が田中邦衛を認識したのはやっぱりテレビドラマの『北の国から』。朴訥で頑固と言えば頑固、物語の中心にいた人物で、高校生の頃にこのドラマに出会った。根っからの善人という役どころで、熱心に見てた。

で、20代になって『仁義なき戦い』などを観るわけですよ。このシリーズが73年前後だから俺8歳、リアルタイムでは観てないものをビデオで見るわけです。そこで繰り広げられる悪行もさることながら田中邦衛の役どころがとても小狡いヤクザなんですよね。あの朴訥とした自然と共に生きる『北の国から』の田中邦衛のイメージがガラガラと崩れたのです。
でもね、それって俳優としては素晴らしいことだなということにも気づいた。同じ人なのに違う人に見えるって凄い俳優だな、と。

また映画にでて欲しいな。好きな俳優だから。どんな卑怯な役でもなんだか憎めない魅力があった。俳優の生きてきた時間と自分の人生の時間というのはシンクロしてると思うから。